2009年8月23日日曜日

受験勉強における外科的治療とリハビリテーション

 進研模試の結果が返ってきました。どんな結果だったでしょうか。各科目や合計点、あるいは大学合格可能性判定ばかりに気をとられていませんか。
1..外科的治療
 模試結果の端から端まで眺めましょう。どの科目が悪いのか、どの分野が得点できていないのか、慎重に確認すべきです。
 怪我をして、だらだらと出血している状態をイメージしてください。もし自分の体が事故にあって出血していたら、止血をしたり手術をしますね。輸血をするかもしれません。
 今、君たちの点数を眺めて、極端に不得意科目や不得意分野があれば、君たちの学力はそういう怪我をして、出血している状態です。痛くないですか。そのような分野がある人は、即座に治療に入りましょう。対策を立ててください。大幅な手術が必要かもしれません。【裏面のstep3を検討します】
 さて、治療によりどの程度の回復を見込むべきなのでしょうか? それは志望大学の合格可能性に注目です。そこには「950点中あと○○点でB」などと、記されているはずです。これが回復目標となります。具体的にこの教科で○○点、この分野で○○点というように、具体的にイメージし、治療方針を決定します。【step2】

2.リハビリテーション
 話は大きく変わって、受験勉強体制に入るリハビリ方法です。これまで部活動を行ってきた生徒は、放課後になると体を動かしたくなる習性が身についています。おそらくお天道様が高いうちに、自宅の机に向かったことがないのではないでしょうか(笑)。このような生徒には、太陽が高いうちでも、机に向かえる体に作り替える必要があるでしょう。
 それにはやはり、強制的に机に縛り付け、慣れてもらうしかありません。そこで図書館などでみんなが自習している環境に身を置きましょう。そして強制的にやらざるを得ない状態にするのがよいでしょう。本校でも図書館は開いています。休みの日でも教室で勉強に励むものもいるようです。生活創造センターの1Fに陣取っている生徒もいます(一般者に迷惑をかけない配慮が必要ですが)。

3.内科的問題
 ついでに内科的コメント。様々な診断結果の数値を「ああだ、こうだ」とこねくり回す(?)のが、内科です。反対に、ぐちゃぐちゃ言ってねぇで、切って開けて見りゃ分かるだろう、というのが外科です(笑)。地歴について、数値から気づいたことをコメントします。成績のいい生徒とこれからの生徒を比較すると、最近学習した内容はどちらの生徒もそれほど成績に変わりがありません。しかしかなり以前に学習した内容に大きな得点差があることが判明しました。つまり、
・優良成績者:以前の学習内容を復習できている・成績不良者:最近学習分はできるが、過去のことは忘れている。
 ということが分かりました。このことは地歴だけでなく、理科など内容教科にも言えるのではないでしょうか。数学の先生におたずねすると、数学もIやⅡの内容は忘れているものが多い。ということでした。3年の夏休みですから、体系的に復習することも考えましょう。

体育祭または農村社会におけるハレ

 本稿の目的は、現代の消費社会と高校体育祭は相容れないことを説明することである。体育祭が学校社会におけるハレであることを説明するような当たり前のことを述べようとしているわけではない。しかしその前提がなければ、話が進まないので、まずその点から始める。
 民俗学では、生活時間をハレとケに分けて考えている。ハレとは「晴れ着」とか「晴れ姿」「晴れ舞台」のハレである。祝い事や祭りなどの非日常的な場面(時間)をハレとよんでいる。一方ケとはハレではない日常的な場面のことを指している。そしてハレとケは交代してあらわれると考えるのである。さて学校生活は前近代的な空間を残しているので、ハレとケを用いて民俗学的に説明できる。すなわち体育祭や文化発表会、球技大会、修学旅行などの学校行事はハレであり、通常の授業日がケというわけだ。卒業式や入学式もハレであるが、イニシエーション(通過儀礼)の意味も大きいと思っている。
 以上は、民俗学をかじっていれば、まあ考えつきそうな議論である。
 さて、このようにハレとケを学校に当てはめるためには、学校社会が前近代的な空間であることが必要である。
 
と、ここまで書いたところで(その時点で6月26日)、6月進研模試が返ってきました(7月2日)。そのことを書かなくてはならない、と決心しましたので、このエッセイの後段は次号とします。

体育祭黄団優勝で終わる


 さて、私は体育祭の朝、開会式の頃、総合庁舎の屋上から写真を撮ろうと、総合庁舎に入りました。ちょうど開会式がはじまる9時頃のことです。この日は休業日なので、役所はすべて休みです。
 入り口に入ると警備員さんがおられましたが、そのまま、エレベータに乗り込みました。すると、警備員さんが付いてこられて、一緒に屋上へ行きました。私が写真を撮っている間も、警備員さんが待っておられました。どう考えても私を怪しい人間と見なされたのでしょう。エレベータで降りるときに、「お仕事とはいえご苦労様です」と挨拶をしたのですが…。
 そんな苦労をして撮ったのが、以下の写真です。

理系バカと文系バカ

 本の紹介である。
「理系バカと文系バカ」竹内薫著 PHP新書(720円)
 次にあげた10の質問に「YES」「NO」で答えよう。
①血液型診断や占いが気になって仕方ない
②取り扱い説明書は困ったときにしか読まない
③たいていのことは「話せば分かる」と信じている
④ダイエットのために「カロリーゼロ」のドリンクをがぶ飲みしてしまう
⑤アミノ酸、カルニチン、タウリンなどのカタカナ表示にすぐ飛びつく
⑥「社会に出ると因数分解なんて必要ない」と言ったことがある
⑦「インド式数学」を学ぶより、電卓を使えばいいと思っている
⑧何でも平均値で物事を判断してしまう
⑨抗菌コートのトイレじゃないと入りたくない
⑩物理学と聞いただけで「難しくて分からない」と思ってしまう

続いて
①できれば他人と深く関わりたくない
②新型、最新テクノロジーの商品を買うために徹夜してでも並ぶ
③相手の関心のないことを延々と話す―女性との会話も下手
④独善的で、いつのまにか相手を怒らせている
⑤「もっと分かりやすく説明して」と、よく言われる
⑥分からないことは、何でもネットで検索してしまえ
⑦感動するポイントが人とズレている
⑧文系より理系の方が人間として「上」だと信じている
⑨UFOや心霊現象について語ることは犯罪に近いと思う
⑩意外とオカルトにハマりやすい
このチェックの解説は、本書で読もう。
 
 ①~⑩まで2種類の質問を用意しましたが、どちらが「理系バカ」、「文系バカ」かは考えれば分かるでしょう。
 そもそも、日本人は理系と文系に分けることが多いように思います。その端緒は実は、高校教育界にあるのではないでしょうか。例えば、進路指導をするときに、文系にいくか理系にいくかという指導がまず1年生のときに行われます。さらに理系・文系でクラスを固定し、途中クラス上文転、理転はできないことになっています。受験上、できないことはないですが、困難を伴います。かつては、理系クラスの担任をもった時には、「文転すると浪人覚悟だよ」などといって、脅したりしていました(笑)。
 理系と文学部の両方に学科がある地理学を学び、自然地理と人文地理の間を行き来している私としては、理系だとか文系だとかいっている場合ではないのであって、理系的発想も文系的発想もどちらも重要なのである。むしろ両者を横断的に行き来できる思考力こそ大事なのである、と思っています。
 近年、京大の理系学部で国語が入試に加わったり、国公立経済学部で数学が入試科目になったりしていますが、これが単なる理系重視ではなく、文理融合を目指す動きであってほしいものです。