2009年5月14日木曜日

マイブーム

 紙面があまってしまったので、余談である。マイブームについてである。「レッドクリフ」に凝っているという話は、教科通信に書いた。雑文にしたためているということは、既に結論が出ている話で、マイブームは去ったといえるかもしれない。
 さて、現在のマイブームは「アリの飼育」である。我が家では昨年、サンタクロースがアリの飼育セットを下の娘にプレゼントしてくれた。電子レンジをつかって、半透明のジェルをつくるもので、室内インテリア用の本格的?なものである。
 公園で16匹のアリを採取し、最近5日ほど観察している。卵をもったアリが2匹ほどいるのだが、それを6匹ほどのアリたちが取り囲み、卵を護ることに必死である。巣穴は既に1cmほど掘れている。昨日は巣穴に卵を入れようとして失敗していた。4匹程度が偵察に、残りのアリは知らんふりである。
 働いているアリとサボっているアリの両方がいて、生徒の掃除風景を連想してしまう。

執筆後のメタ認知:上記文章は、結構うまく起承転結になっていると思う。

面談を終えて

 面談が終了しました(この記事を打っているのが、14日です。15日の昼には終了する予定です。面談をしていて、感じたことを箇条書きで述べておきます。

1.志望校の受験科目が分からない
 受験科目だけでなく、1次と2次の配点も分からない、という生徒が見かけられます。受験生になるということは、志望校が分かっているということです。

2.受験校のレベルが分からない
 ここでいうレベルとは、偏差値のことではありません。偏差値は模試によって変わります。最終的には偏差値で選ぶわけではありません。偏差値は目安です。最後の勝負は、合格最低点を1点でも上回る得点をあげることです(俗な話で、個人的には好きではありませんが…)。
 さて、ここでいうレベルとは、入試問題の難易(解きやすさ)です。しかも一般論ではなく、自分にとってのです。過去問を覗いてみて、自分の力とのギャップを知るのも一つの方法である。今から赤本をやれと言っているわけではない(念のため)。

3.自分の課題が分からない
 面談していて、どんな勉強をしているのか、と尋ねると返事が返ってこない生徒がいる。一方、「英語はこれが課題なので、こういう勉強を、数学はこれこれ」、というようにすらすらと答える生徒がいる。どちらがいいのかは明白であろう。今の自分にとって、何が課題なのか認識できていることが重要だ。そうすると自分の取るべき道筋(勉強内容)を考えることができる。

4.今日、今週、何をするかが分からない
 3で述べたように、課題とそれに対する解決法(勉強内容と勉強量)が明らかになれば、それをこなす計画が立てられるはずだ。それを配分すれば、夏休みまではこれぐらい、1週間でこれぐらい、というスケジューリングができる。
 今日何をするか答えられない生徒は、スケジュールが決まっていないといえる。惰性ではなく課題をもって取り組むとということは、今日とか1週間の勉強予定が言えるということだ。
(3号)

最近読んだ2話

 以下の2つの話題から、担任の主張を読み取り、簡潔に述べなさい。
・ペンシャープナー
 さて、原稿を書く準備が整った。といいたいところだが、なかなかそうはいかない。私のように長年この仕事を続けているものでも、原稿に臨むための気持ちを高めていくのが、けっこう厄介な作業なのである。(中略)もうひとつ集中の儀式に役立つ材料に、「ペン・シャープナー」というものがある。英語の訳すとpen-sharpener、つまりペン先を鋭くさせるものという意味である。いったい何のことかと思われるだろうが、ペン・シャープナーとは、文章のカンを鈍らせないために読む本や、原稿を書く前に読む、お気に入りの文章のことだ。(野村進「調べる技術・書く技術」)

・『海馬 脳は疲れない』
脳は変化したものを変化したままにしておく性質 (可塑性) がある。可塑性はすなわち記憶である。脳の中で、記憶を扱っている部位が海馬だ。人間の脳の中で最も可塑性に富んでいる。脳の奥の大切なところにあり、直径1センチ、長さは5センチ。ちょうど小指くらい。脳には、意識するしないに関わらず、たくさんの情報が入ってくる。その情報は一度ぜんぶ海馬に送り込まれる。海馬が、「役に立つ情報」と「役に立たないから忘れていい情報」とに仕分けをする。厖大な情報の中から、ほとんどはそのまま捨てられてしまうのだが、海馬は生存のために必要な情報を記憶する。(中略)脳の「やる気」を生み出す場所が側坐核。この神経細胞が活動すればやる気が出るのだが、なかなか活動してくれない。そのかわり、一度はじめると、やっているうちに側坐核が自己興奮し、集中力が高まって気分が乗ってくる。だから、「やる気がないなぁと思っても、実際にやりはじめてみるしかない」のだ。
http://www21.ocn.ne.jp/~smart/Kaiba0220.htm

地方国公立と地元私立大学


前号で「毒を食らわば皿まで」という話しをしました(笑)。ここでは教育費について考えます。一般に学費は私立が高く、国公立が安いのですが、様々な出費がかさみます。そこでそれらを合計した教育費で考えます。以下に示した内容とグラフは、小林雅之「進学格差―深刻化する教育費負担―」ちくま新書.に基づいています。
 学費とは授業料や納付金が主だが、通学費や書籍代も含まれる。一方、生活費は自宅外の場合にはアパート代が最もかかる。
 このグラフは日本学生支援機構資料(2006年度)のもので、1年間の学生生活費は最も安い国立大学自宅通学の場合で、学費約70万円、生活費約35万円で計105万円である。反対に最も費用のかかるのは、私立大学アパートの場合で、学費約135万円、生活費約112万円で合わせて247万円である。両者の差は約2.4倍、金額で約142万円の差がある。
 これはあくまで平均の話しで、国立大学では学部や学科によって殆ど授業料は変わらないが、私立大学では大きく異なる。理系の方が文系よりも高くなっている。私立大学の医学部では何千万円もかかるケースもみられる。ピンからキリまである。もっとも国立大学でも2004年から授業料に差ができる場合もみられるようになったのだが…。また、アパートの場合も色々あるし、首都圏と地方とでも異なることに留意してほしい。
 さて、注目したいのは私立自宅と国立アパートの学生生活費の平均が殆ど差がないことである(177万円と172万円)。国立大学アパートは授業料が安いが生活費が高い。一方私立自宅は授業料が高いが、生活費が安くなっている。
 結論としては、
高等教育の機会選択に関して、費用の点だけみれば、「国立大学(公立大学)アパートと私立大学自宅とは無差別である」ということを意味している。

勉強とは何だろう。

 過日の朝日新聞で「高まる私塾熱 支える塾」という記事を目にした。あの有名な進学塾「浜学園」のことを書いているようだ。
 さて、私が気になったのは、3段目の小学生とのコメントである。その前後のパラグラフを引用すると、
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 「学校は友達と遊ぶ所、勉強は塾でする」。共学難関校の洛南高付属中(京都市)を目指す西宮市の小学6年生(11)は笑顔で言った。(中略) 受験用の複雑な計算や図形問題の解き方、年号の語呂合わせなど、小学校では習っていないことばかり。「学校の授業は退屈だけど、塾の勉強はすごく楽しい」と目を輝かせる。成績順のクラス替えも「ゲームみたいで面白い」。
 「やる気を引き立て、分かる喜びを伝える。教師の力の差でしょう」と、西宮教室の塩谷裕弘主事は言う。 朝日新聞0904
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 この女子児童は勉強とはどんなものだと思っているのだろうか。図形問題の解き方や年号の語呂暗記が勉強だと思っているのだろうか。あるいは、思わされているのだろうか。本当の勉強とは何か教わっていないところが、不憫な気がする。
 勉強とは研究の成果を辿るのが本来であろう。万有引力の法則を学習するのであれば、その時代に分かっていなかったことと課題を提示し、その解決法を考えさせる中で、万有引力という概念を導入すると、事実がうまく説明できることを学習する。できれば実験や観察で証明できれば、なお良いわけである。社会科においてもその学習法は社会諸科学の方法によるのが良いとされている。
 無論、ニュートンの頃と全く同じ時代状況は作れないし、時間も足りないので、その設定は簡略化され、効率よく教授する方法が開発される。これが科学史の世界では「Disciplineディシプリン」と呼ばれるものである。
 話しは元に戻るが、勉強とは研究活動を簡略化して追体験するのが本来であって、そこに生じる喜びを経験することが、分かる喜び(=学習の喜び)であろう。無論受験勉強においては、そんなことに時間をかける余裕はないと言われるかもしれない。しかし本当の勉強の喜びを教えないで、いいのだろうか、という疑問が残る。特に小学校時代にそれを知ることが重要である。高校3年生では遅い。こうしたことを教えることができない(力量がない)ので、成績順でクラスを入れ替えるようなゲーム化で喜びを置き換えているのだろうか。少なくとも塾教師がこれを「分かる喜び」と表現しているのは残念なところである。
 ここでは内容探求教科について述べた。英語や国語(日本語)のようなリテラシー形成に関しては、別問題であることを付記しておく。(2号)

本日は進路HR

早速ですが、進路HRです。色々な説明があるので、要点を押さえます。
・この時期は、年間のスケジュールを押さえましょう。どの時期にどんな事をするのか、把握しましょう。
・先輩の体験に学びましょう。3人の体験記を読んで、どんなことが分かりましたか、あるいは印象に残ったことはどんなことですか。
 3点ほどまとめてみましょう。
(記述欄省略)

担任からのコメント
①毒を食らわば、皿まで
 理系なら国公立を目指すべきでしょう。研究費・設備・人的資源などどれをとっても、私立と比べ一定以上の水準があります(無論私立でも環境の整った大学があることは否定しませんが)。
 特に授業(研究)環境をよく見ましょう。理系においては、ゼミが少人数であることはとても重要なことです(文系だと人間的接触経験がヒューマニティ研究上重要になるのですが)。私立と国立の両方のゼミ指導を経験した上からもそう断言できます。
 そういうわけで、「近隣の私立大学か地方の国公立大学か」という議論がありますが、一般論では地方国公立をおすすめします。これには受験科目、学費、下宿費等を検討しなければなりませんが、それは口頭で。

②大学院進学も念頭に入れましょう。
理系生徒の多数は大学院へ進学する場合が多いようです(その率は大学や学部によって異なりますが、最低でも半分以上)。それは、昨今の技術革新の流れの中で、4年間だけでは最新研究や技術の修得に追いつかないからです。4年間だけではなく6年(あるいは、博士課程を含めてそれ以上)のスパンで、進路を検討して下さい。
③進路を自分で選び取る力を身につけましょう
先生や塾がそう言うから、この道を選びましたでは駄目です。他人からアドバイスを受けることは大事なことですが、それを鵜呑みにせず、データを調べたり、もとの情報にあたりましょう。進路選択は、大学受験だけではありません。これからの人生において、様々な選択があります。大学入学後も、他大学や他学部への編入、大学院進学、就職、留学、転職、内地留学…など様々です。自分でサーチして選び取る力を身につけましょう。 私の場合ですが、大学院進学を目指していましたので、高校2年生の時に地理学科(専攻)で大学院のある大学は調べ上げました。そして大学院のある大学への進学を目指したわけです。当時は学部と大学院で大学をかわるよりも、内部進学の方が有利と考えられた。
 しかし、大学4年生の時に気づいたのですが、
(中略)
 これ以上は、活字にはしにくいのでHRで話します。
 というような事実は、高校生の時には全く知りませんでした。高校生の時だれかが教えてくれたら、違う人生を歩んでいたのかもしれません(結局高校教師になっていたのかもしれませんが)。
 というわけで、②大学院のことも考えよう、③進路を選び取る力を身につけよう、という2点につながるわけです。

④集団の教育力
 塾と学校とはどう違うのでしょうか。色々な考え方がありますが、私は「集団の教育力」といえると思っています。
 紙面が尽きました。口頭で喋るか、通信に書きます。

クラス通信の創刊にあたって

クラス通信を発行します。タイトルをどうするか、考える余裕もないので、昨年と同じです。タイトルの意味は、理系ですから、考えて下さい。暇なとき発行しますので、不定期です。よろしく。
(創刊号)