2009年5月14日木曜日

地方国公立と地元私立大学


前号で「毒を食らわば皿まで」という話しをしました(笑)。ここでは教育費について考えます。一般に学費は私立が高く、国公立が安いのですが、様々な出費がかさみます。そこでそれらを合計した教育費で考えます。以下に示した内容とグラフは、小林雅之「進学格差―深刻化する教育費負担―」ちくま新書.に基づいています。
 学費とは授業料や納付金が主だが、通学費や書籍代も含まれる。一方、生活費は自宅外の場合にはアパート代が最もかかる。
 このグラフは日本学生支援機構資料(2006年度)のもので、1年間の学生生活費は最も安い国立大学自宅通学の場合で、学費約70万円、生活費約35万円で計105万円である。反対に最も費用のかかるのは、私立大学アパートの場合で、学費約135万円、生活費約112万円で合わせて247万円である。両者の差は約2.4倍、金額で約142万円の差がある。
 これはあくまで平均の話しで、国立大学では学部や学科によって殆ど授業料は変わらないが、私立大学では大きく異なる。理系の方が文系よりも高くなっている。私立大学の医学部では何千万円もかかるケースもみられる。ピンからキリまである。もっとも国立大学でも2004年から授業料に差ができる場合もみられるようになったのだが…。また、アパートの場合も色々あるし、首都圏と地方とでも異なることに留意してほしい。
 さて、注目したいのは私立自宅と国立アパートの学生生活費の平均が殆ど差がないことである(177万円と172万円)。国立大学アパートは授業料が安いが生活費が高い。一方私立自宅は授業料が高いが、生活費が安くなっている。
 結論としては、
高等教育の機会選択に関して、費用の点だけみれば、「国立大学(公立大学)アパートと私立大学自宅とは無差別である」ということを意味している。

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