2009年6月22日月曜日

ホグワーツでは何故クリスマスを祝うのか その3

(b)魔女狩りとハリーポッターの世界
 前述のように、キリスト教世界における魔女観は1300頃を境として大きく変わっている。森島は1300年以前を平穏な「古い魔女」の時代、それ以降を険悪な「新しい魔女の時代」と呼んでいる。これがハリーポッターの世界観とどう関わるかが、問題となる。
 ハリーポッター世界の歴史によれば、最も古い記録は、紀元前382年オリバンダーの店(杖の店だが)創業であり、1000年までには993年頃のホグワーツ創設しか記録されていない。1296年マンティコアが誰かを傷つけ、裁判にかけられた記録が3番目に古い記録で、これ以後様々な記録が散見される。14世紀に2件、15世紀2件、17世紀3件となっている。こうしたことから、ハリーポッターの世界は、ホグワーツ校の創設から考えて、10世紀頃から徐々に始まり、12~13世紀頃に確立したとみるのが妥当である。これは森島の言う「新しい魔女の時代」の始まりと一致すると考えていいだろう。
 しかしながら、マグルの世界をあれほど騒がせた魔女狩りに関する記述は、ハリーポッターの世界における歴史には、全く触れられていないのは解せないことである。魔女狩りの歴史は、ビンズ先生の魔法史とバーベッジ先生のマグル学との両者の狭間に位置したため、どちらかの科目においても触れられなかったのかもしれない。(未完)
 

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